尿漏れ(尿失禁)とは、自分の意思に関係なく尿が漏れる状態です。我慢したくても尿が出てしまいます。男性女性を問わず中年になると尿漏れ(尿失禁)に悩むようになります。尿漏れ(尿失禁)は男性に比して女性に多い症状です。特に更年期以降の女性で尿漏れ(尿失禁)に悩んでいる人が多くみられます。女性に尿漏れ(尿失禁)が多い原因には、体の構造と更年期のホルモンが関係しています。女性の尿道は男性よりも短く尿道を閉める筋肉や骨盤内の筋肉(骨盤底筋)も弱いことに加えて、出産経験などの影響で筋肉をひき締める力は弱くなり、筋肉が緩むと膀胱や尿道は下がり気味になってしまい、尿道の閉まりが悪くなって尿漏れ(尿失禁)が起きてしまいます。
■尿漏れ尿失禁の原因
○直接排尿に関係する腎臓・膀胱・尿道などの衰え
○出産経験や更年期以降のエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少
○肥満・便秘などによる膀胱や骨盤底筋への圧迫
○手や足の動きなど運動機能の衰え
○認知症などによる判断力の衰え
○糖尿病や脊椎・腰椎の病気
尿漏れ尿失禁の原因
更年期女性の尿漏れ
成人女性の約30%に尿漏れ(尿失禁)があり、女性の尿漏れ(尿失禁)の6~8割が腹圧性尿失禁といわれています。更年期以降は、泌尿器周辺の筋肉が衰え、尿漏れ(尿失禁)だけでなく頻尿や残尿感など尿にかかわる悩みがふえることになります。更年期以降の尿漏れ(尿失禁)の原因には、出産経験に加えて筋力(尿道括約筋や骨盤低筋)そのものの低下や、更年期障害の最大の原因であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少があります。更年期以降に尿漏れが現れてくる理由は、エストロゲンの減少で尿道括約筋や骨盤底筋が緩くなったり弱くなったりするためと考えられています。例えば、エストロゲンにより膀胱の粘膜や括約筋が萎縮しやすい結果、尿意を抑えられなくなります。また、肥満や便秘は膀胱や骨盤低筋を圧迫するので尿漏れの原因にもなります。
尿漏れ(尿失禁)の治療には、骨盤底筋などを鍛える運動療法、エストロゲンを補うホルモン補充療法、尿漏れを防ぐ手術療法など症状によって様々な治療方法があります。
お腹に力が入ると尿漏れを起こす腹圧性尿失禁の防止対策としては、骨盤底筋群を鍛える訓練や体操が有効とされています。尿漏れ(尿失禁)は人に相談しにくい悩みですが、尿漏れ(尿失禁)で困っているならば泌尿器科や産婦人科に相談して正確な診断をしてもらい治療をしましょう。
※尿漏れ(尿失禁)には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁などがあります。比較的新しい疾病概念の過活動膀胱と呼ばれるものもあります。
尿漏れの症状治療
尿漏れ(尿失禁)には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁などがあります。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の複合型の尿漏れ(尿失禁)のこともあります。
■尿漏れ(尿失禁)の症状:腹圧性尿失禁
咳やくしゃみ・飛び跳ねたりすることでお腹に力が入った瞬間に尿が漏れてしまう尿もれです。腹圧性尿失禁の原因は、加齢や出産などで骨盤底筋群など膀胱や尿道を支える骨盤内の筋肉が弱くなることによります。膀胱がお腹の筋肉で少し押されただけでも尿が漏れてしまいます。腹圧性尿失禁は40代後半の女性に多いタイプの尿もれ(尿失禁)です。腹圧性尿失禁の治療は尿漏れ防止体操で骨盤底筋を鍛える運動療法や膀胱の収縮を抑制する薬物療法があります。
■尿漏れ(尿失禁)の症状:切迫性尿失禁
突然に尿意を感じてからトイレに行くまで我慢できずに尿が漏れてしまう尿もれで、多くは頻尿をともないます。切迫性尿失禁は排尿を調節する脳からの信号がうまくいっていないため、膀胱内に尿が溜まると突然強い尿意を感じて不随意的に膀胱の筋肉が収縮して尿が漏れてしまいます。切迫性尿失禁の治療は薬物療法になります。
■尿漏れ(尿失禁)の症状:溢流性尿失禁(いつ流性尿失禁)
排尿障害があるために少しずつ尿が漏れてしまう尿もれです。前立腺肥大など尿路に閉鎖性の病変があることで起きる尿漏れ(尿失禁)です。溢流性尿失禁の治療は、先ずは原因になっている疾患の除去になります。
■尿漏れ(尿失禁)の症状:機能性尿失禁
膀胱や尿道に異常はなく他の原因で尿が漏れてしまう尿もれです。機能性尿失禁の原因は、歩行障害などの体が不自由や認知症など、自力でトイレに行けないことによります。機能性尿失禁では周囲のケアが大切になります。
日常の尿漏れ対策
日常生活での尿漏れ(尿失禁)対策は、トイレを我慢する訓練や骨盤底筋を鍛える体操をして、肥満や便秘の解消をします。水分のとりかたも大切です。尿漏れが気になるからといって水分を控えるのは間違いです。排尿や便通を良好に保ち健康な体を維持するには水分を摂取する必要があります。1日の水分摂取量は1,000~1,500ccが目安です。また、尿漏れパッドなどを使えば、尿漏れを心配しないで外出したり活動できます。尿漏れ(尿失禁)で悩まず医師に相談するのも大切です。
■尿漏れ(尿失禁)対策:体操や訓練
膀胱の筋肉や骨盤底筋を鍛えます。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の改善効果が期待できます。
■尿漏れ(尿失禁)対策:利尿作用のある刺激の強い飲み物を避けます。
お茶・コーヒーなどはカフェインを含みます。トイレが近いならば利尿作用のある成分を含まない刺激のない飲み物をおすすめします。
■尿漏れ(尿失禁)対策:便秘解消
便秘は膀胱を圧迫したり骨盤底筋を締めにくくする原因になります。尿漏れの原因になります。排便習慣や食物繊維・乳酸菌の摂取などで便秘解消しましょう。
■尿漏れ(尿失禁)対策:肥満改善
肥満は便秘と同じく、膀胱を圧迫したり骨盤底筋を締めにくくする原因になります。日常生活に適度な運動を取り入れて、食生活など生活習慣を見直すことで、体重をコントロールしましょう。
■尿漏れ(尿失禁)対策:尿漏れパッドなどを使う
尿漏れで気になるのが、尿が漏れることによる臭いや肌荒れです。漏れる量に応じたパッドを使って小まめに交換します。尿漏れで肌荒れを起こした場合は、お湯か無香料で低刺激の石鹸で軽く流します。痒みがある場合は医師に相談しましょう。
尿漏れ防止訓練体操
尿漏れ(尿失禁)の改善に膀胱の筋肉や骨盤底筋を鍛える訓練や体操が効果的とされています。だだし、すぐに効果が出るわけではありませんから気長に続けてください。尿漏れの症状が重かったり尿漏れ防止体操で改善が見られない場合は医師に相談してください。薬物療法や他の治療法が考えられます。
尿道には平滑筋(不随筋)と自分の意思で動かせる括約筋(随意筋)からなっています。括約筋を鍛えることは尿もれを防ぐことになります。また、骨盤内の膀胱などの臓器を支える骨盤底筋を鍛えることで尿もれを防ぐことになります。
■尿漏れ防止訓練体操:トイレを我慢する訓練
尿意を感じてもすぐにトイレに駆け込まないで我慢する訓練です。トイレを我慢する時間を最初は5分から始めて徐々に延ばします。薬物療法との併用が効果的といわれています。泌尿器科の医師に相談してください。
■尿漏れ防止訓練体操:骨盤底筋を鍛える方法
肛門と膣を一緒に締めたり緩めたりして尿の出口の筋肉である骨盤底筋群を鍛えます。
○尿もれ体操のコツ
尿漏れ防止体操のコツは、肛門と膣以外の筋肉に力を入れないで体全体をリラックスさせて行ないます。トイレに座って尿を途中で止めてみてください。止めたときに使っている筋肉が鍛える筋肉です。また、おならが出そうになった時にこらえようとするときをイメージしてみてください。こらえようとしたときに使う肛門を閉める筋肉が鍛える筋肉です。1セットは、収縮を5秒維持した後にリラックスして5秒です。この収縮と弛緩を1回につき10~15セット行います。1日何回でも構いませんし、姿勢は寝ながらでも椅子に座ったままでも良いです。
更年期女性の頻尿
頻尿とは昼間8回以上・夜間1回以上の排尿が目安になります。更年期で頻尿が増える原因は、エストロゲン(女性ホルモン)の減少で膀胱や尿道の粘膜が萎縮したり過敏になるため、それ程尿が溜まっていないのに尿意を感じるためといわれています。睡眠不足など日常生活に差し障りがでている場合は、薬物療法による治療が必要になります。更年期においては、頻尿のほかに、尿道粘膜が薄く弱くなるため起こる膀胱炎にも注意しなければなりません。頻尿に加えて排尿時の痛み・残尿感・尿の混濁がある場合は膀胱炎が考えられます。また、血液が混入・発熱・腰痛を伴う時には腎盂腎炎などの病気が考えられます。病院の受診をしてしっかり治療する必要があります。頻尿は病気のサインであることがありますから、恥ずかしがらずに泌尿器科か腎臓内科の受診をしてください。
過活動膀胱
過活動膀胱とは、突然の尿意切迫感・切迫性尿失禁・頻尿の症状が合わさった症候群のことで、文字の通り排尿筋が必要以上に活動してしまう状態です。がまんできない強い尿意、トイレが間に合わずに尿が漏れる、トイレが近いといった症状です。過活動膀胱の原因は、膀胱の周りの筋肉が不随意収縮(自分の意思に反したり、意思に関係なく収縮すること)をおこして尿道を締める力が働きにくくなるためです。過活動膀胱による不安や恥ずかしさなどで運動や外出・仕事や家事・気分の落ち込み・睡眠など生活の質(QOL)への悪影響があります。50歳代~80歳以上の男性に多い過活動膀胱ですが、40歳代では女性に多いようです。
普通の排尿は300ミリリットルです。ところがそれ程尿が溜まっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまうため突然の尿意切迫感を感じます。過活動膀胱はきちんと治療を受けることで症状が改善されます。
