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女性の更年期事典 > 腸の老化と病気

腸も老化する

年齢を重ねると腹筋や腹圧が弱くなって腸の働きが鈍くなります。加えて運動不足やストレスで腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増えてしまいます。若年層でも、脂肪分や肉類の多い欧米型の食生活、運動不足などの生活習慣の乱れやストレスなどで悪玉菌の多い腸が老人(老腸?)、ということも珍しくありません。「腸年齢=実年齢」ではないのです。ですが、努力次第で腸の老化はある程度防げるのです。

悪玉菌が増えると病気に対する抵抗力(免疫機能)が低下して病気にかかりやすくなったり、食べた物を消化しきれずに臭いオナラだけでなく、体臭、口臭、便臭などの悪臭の元をつくります。更に、フェノールアミンやインドールなどの発癌(ガン)物質までもつくってしまいます。健康は腸からスタートです。

あなたの腸年齢チェック
腸内細菌ってなに

あなたの腸年齢チェック

腸年齢をチェックして健康な腸に改善しましょう。

○朝起きた時に体がだるい
○肌にハリがなかったりくすんで見える
○便秘気味、オナラが臭い
○疲れやすい、風邪をひきやすい
○階段を上ると息が切れる(運動不足)
○豆類・根菜類・海藻類はあまり食べない
○煙草を吸う
○飲酒の機会が多く、つい飲みすぎる
○ストレスが多いと感じている
○睡眠不足だ

2個以下:実年齢よりも腸年齢は若いです。
3~5個:実年齢と腸年齢はほぼ同じです。
6~8個:腸年齢が実年齢をこえています。食生活や運動などの生活習慣を改善しましょう。
9~10個:かなり腸年齢が高いです。生活習慣を改善をすぐにも開始して腸年齢を若くしましょう。

腸内細菌ってなに

腸内細菌は、約300種類、約100兆個、重さにして約1kg存在するといわれ、腸内細菌は消化や便通だけでなく、、健康や病気と重要な関係があります。腸内細菌のバランスを保つ事(腸内環境を整える)が健康の秘訣です。母親の胎内にいる時は微生物は存在せず、生まれた瞬間から微生物が体内に入り増殖・生息するようになります。これが腸内細菌の始まりです。

食べ物は胃で分解・消化され、その栄養分を腸で吸収し、栄養分は血液を通じて全身に運ばれます。健康な人の腸内細菌の割合は、善玉菌(20%)・悪玉菌(30%)・日和見菌(50%)といわれています。普段はおとなしい日和見菌(中間菌)は、体が弱ると悪玉菌のような悪さを始めます。
腸内環境に大きく貢献するのが食物繊維乳酸菌です。

善玉菌vs悪玉菌

乳酸菌やビフィズス菌に代表される善玉菌は、腸内で「発酵」を促して食物の消化を助けたり、ビタミンやアミノ酸など有益な栄養素を作り出したりします。悪玉菌は「腐敗」を進めて有害物質を産生します。便秘・下痢・宿便や体調不良を引き起こたりし、免疫機能を低下させて病魔に侵されやすくします。病原性大腸菌やウェルシュ菌などがあります。

ストレス・食生活の乱れなどで腸内細菌の勢力バランスが崩れると、悪玉菌が増えて毒素をまき散らして病気を引き起こします。また、加齢による「腸内細菌叢(腸内フローラ)の老化現象」(加齢とともにビフィズス菌が減少し悪玉菌が優勢になるetc)で、腸内では食物が「腐敗」しやすくなり有害物質が大量生産されるようになります。この有害物質が血液で全身に運ばれ、体の老化をますます促進するという悪循環が生まれます。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを整えて、大事な臓器である「腸」を健康に保ちましょう。そして、善玉菌を多く育て、腸内細菌叢(腸内フローラ)の老化を抑えましょう。

乳酸菌と腸内環境

乳酸菌が腸に届くと、善玉菌が増え、悪玉菌の増殖が抑えられます。善玉菌は腸内を酸性にして有害な菌を撃退したり免疫力を高めてくれます。善玉菌優勢の腸内環境をつくりましょう。乳酸菌は、腸内環境の改善に大切です。

乳酸菌の働き
○整腸作用
○腸の動きを活発にする
○食物の消化吸収を促す
○病原菌や腐敗菌に対する抗菌作用
○細菌やウィルスに対する免疫増強作用
便秘、下痢の予防

一般のヨーグルトなどの食品からの乳酸菌の殆どは胃酸や胆汁で死んでしまいますが、乳酸菌の死骸は腸内の善玉菌のエサになって善玉菌を増やしてくれます。腸内環境をを整えて便秘解消したいなら、腸まで届く乳酸菌を選ぶほうがよいですね。動物性乳酸菌が苦手の場合は植物性乳酸菌があります。

腸内で働く食物繊維

食物繊維は、腸内環境を整えて、生活習慣病や大腸癌の予防になります。食物繊維自体が栄養にもエネルギーにもならないとして軽視されていましたが、現在では第6の栄養素として重要な働きがあると認識されています。

食物繊維の働き
○腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)を増やして、悪玉菌(大腸菌など)を減らします。
○腸内環境を整えて、大腸癌予防に役立ちます。
○胃の中で水分を吸収して膨らみ、便の体積を増やして排便を促進しますので、便秘予防になります。
○腸内の老廃物・有害物質を吸着して、体外に排出します。
○腸内で様々な働きをして生活習慣病の予防に役立ちます。

食物繊維についてもっと知りたい方は、こちらから

腸内環境には水が必要

朝起きたら、先ずコップ一杯の水を飲んでみましょう。「健康は朝一杯の水から」ともいわれ手軽で効果的な健康法で、腸内環境を壊す便秘にも効果があります。毎日1.5~2リットルの水を食事以外に飲むのが良いといわれています。コップ一杯は200ml程度です。WHO(世界保健機構)では、一般成人は食事以外にコップ9杯分の水を毎日飲むように、といっています。

水分補給のポイント
○水は分けて「少しずつ、頻繁に」飲みます。一度にたくさん飲むと胃腸に負担をかけたり、体がだるくなったりします。
○空腹時に水を大量に飲むのは避けます。胃を痛めます。
○食事中は消化を考慮して水はほどほどにします。汁物などの食事からも水分は補給しています。
○夏などは意識的に多めの水分補給をします。
○運動前後の水分補給は必ず行います。運動中にも、喉が渇く前に水分補給をします。
○寝ている間も汗をかきますから、就寝前に適度の水分を補給してます。

便秘とは

便秘は一般的には腸の機能が低下して起きる機能性便秘が多いでのが、間違った便秘解消の方法でさらに便秘を悪化させることもあります。便秘のタイプを知って正しい便秘解消をしましょう。放っておくと厄介なことにもなりかねません。女性は便秘になりやすいので注意が必要です。また、便秘は腸内環境を悪くしますが、
宿便も腸内環境を悪くします。宿便は便秘でなくともあります。
便秘には機能性便秘と器質性便秘に大別されます。器質性便秘は病気などにより引き起こされる便秘です。機能性便秘には慢性的な習慣便秘と一時的な一過性便秘があります。一過性便秘は旅行などの環境の変化で一時的に起こるもので、元の日常生活に戻れば便秘は解消されます。厄介なのが習慣性便秘です。

習慣性便秘:直腸性便秘
最も多い常習便秘(慢性便秘)です。便意を我慢していたり、便秘解消に薬をすぐに使う人に多い便秘です。直腸に便があっても直腸がそれを感じにくくなっています。便意を感じないのでどんどん直腸に便が溜まってしまう便秘です。

習慣性便秘:弛緩性便秘
腹筋や肛門括約筋が弱いために便を押し出す収縮機能(蠕動運動運動)の低下による便秘です。運動不足でもおきる便秘です。大腸の中を便がゆっくり進む間に水分が吸収されて便が硬くなります。大腸に大量の便とガスが停滞します。そのため、張腹感や残便感があします。便意があるのに出ないのが特徴です。

習慣性便秘:痙攣性便秘
大腸の緊張が強すぎて起こる便秘です。主にストレスなどによる自律神経の失調が原因とされています。便秘と下痢を繰り返したり、腹痛があったりします。コロコロの硬い便です。

器質性便秘
器質性便秘には、先天性便秘と後天性便秘があります。大腸ガンなどの可能性もあります。次のような症状があるなら、病院で診てもらう必要があります。他の病気と同じく大腸ガンは、早期発見が大切です。
・便に血や粘液が混じっている
・便の色が、黒っぽい、赤っぽい、灰白色
・妙に細い便がでるようになった
・嘔吐や激しい腹痛がある

便秘のタイプ別解消法

便秘のタイプ別解消法

習慣性便秘にも排便習慣の乱れによる直腸性便秘、腸の蠕動運動が低下することによる弛緩性便秘、ストレスによる痙攣性便秘などがあります。便秘のタイプで便秘の解消法も違います。

直腸性便秘の解消方法
直腸性便秘の解消方法のポイントは、便意を感じるように排便習慣を取り戻すことです。
○規則正しい食事習慣をつけます(特に朝食は大切です)
○便意がなくとも決まった時間にトイレにいく習慣をつけます
○トイレに行きたくなったら我慢をしない(オナラも我慢しない)
○食物繊維をタップリ摂ります(野菜・キノコ類・イモ類など)
○下剤はできるだけ控えます(癖になって腸の働きを弱くしてしまいます)

弛緩性便秘の解消法
弛緩性便秘の解消法のポイントは、蠕動運動を促進する筋肉を鍛え・体力をつけることです。
○適度の運動で筋力と体力をつけます(特に腹筋・横隔膜を鍛えます。ウォーキングなどで体力をつけます)
○腹部をマッサージします(「の」の字を書くようにマッサージをします)
○食物繊維をタップリ摂ります(野菜・キノコ類・イモ類など)

痙攣性便秘の解消法
痙攣性便秘の解消法のポイントは、知らぬ間に溜め込んでいるストレスを発散することです。そして、敏感になっている腸を刺激しないことです。最近耳にする過敏性腸症候群はこの症状です。
○ストレス発散の工夫をする(運動や趣味で気分転換をします)
○腸に刺激を与える食品を避けます(カフェイン・香辛料や、野菜・イモ類に含まれる不溶性食物繊維)
○腸にやさしい食物繊維を食しましょう(海藻類・こんにゃくなどの水溶性食物繊維)

女性と便秘の関係

年齢を問わず便秘に悩む女性が多いです。女性に便秘が多い理由があります。
○女性は男性に比して筋力が弱い
腹筋や横隔膜が弱いので大腸の運動も活発でないため、大腸に便が溜まりやすいのです。
○運動不足と小食
筋力が弱いことに加えて、運動不足や小食が腸の動きを弱めます。
○生活習慣
食生活の乱れ、食物繊維や水分不足だけでなく、便意の我慢が影響します。
○ホルモン分泌
プロゲステロン(女性ホルモンの一つ)が大腸に影響するといわれています。プロゲステロンは腸の動きを鈍くし腸管内の水分を体内に取り込む作用があるために便が硬くなりやすいのです。

女性の便秘解消方法

女性の便秘解消方法

便秘を解消する方法のご紹介です。
○食事
何よりも規則正しい食事です。そして、便秘解消に海藻類・キノコ類・ごぼう・こんにゃくなどで食物繊維をタップリ摂りましょう。そして、腸に刺激を与える有機酸を含む果物や乳酸菌を含むヨーグルトを意識的に食しましょう。ただし、緊張性便秘の場合は不溶性食物繊維は控えます。
○排便
朝食後は便意がなくてもトイレに行くなど、規則正しい排便習慣をつくりましょう。また、便意は我慢してはいけません。我慢グセがついてしまいます。
○水分
水分を意識的に補給しましょう。一度に飲むのではなく小分けにして飲みます。
○運動不足解消
腹筋・横隔膜を鍛えましょう。
○腹部マッサージ
「の」の字を書くように右回りに腹部をマッサージします。
○腹部を冷やさない
冷えると腸の働きが鈍くなりますから、入浴などで腹部を温めましょう。
○ストレス解消
ストレスは腸の動きを鈍くしますから、ストレス解消方法を見つけてストレスフリーの環境にしましょう。

宿便ってなに

宿便は、腸壁にこびりついたヘドロ状の老廃物です。便秘体質でなくとも宿便はあるとか。宿便が増えると、肌荒れ・吹き出物や肩こり・頭痛などを引き起こしたり、腸の機能が低下して便秘になったりします。宿便は腸環境を悪くして様々な病気の引き金にもなります。宿便・便秘を追放して腸内環境を整えてあげましょう。宿便の解消方法は便秘と同じ方法です。便秘や宿便を解消する方法にデトックスとか断食などが話題になっていますが、適切な方法で健康を害さない注意が必要です。宿便解消に断食がよいといわれていますが、断食を自己流で行うのは危ないですから指導のもとに行うことをおすすめします。本来、デトックスにしても断食にしても健康法であって、健康を害しては本末転倒になってしまいます。

宿便の弊害
○宿便は、腸壁からの栄養素吸収を阻害します。
○宿便は、便秘特有の吹き出物・肌荒れ・肩こり・頭痛・食欲不振を引き起こします。
○宿便は、腸の機能を低下させて便秘を引き起こします。
○宿便は、悪玉菌・有害物質・悪臭を発生させて腸内環境を悪くして、大腸ガンをはじめとする病気の引き金になります。

宿便の溜まりやすい人
○悪玉菌優勢の腸内環境が悪い状態
○低血圧・冷え性・運動不足

腸の病気

腸の病気で一番気になるのが大腸癌ですね。他にも気になる腸の症状や病気があります。生活習慣を見直して腸内環境を整え腸の病気の予防対策をし、定期健診をうけ、気になる症状があるなら大事に至る前に検査を受けることで早期発見をし早期治療をしましょう。

過敏性腸症候群
急性腸炎
潰瘍性大腸炎・クローン病
大腸がん(大腸癌)
大腸ポリープ
大腸ポリポーシス

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、少しの刺激で下痢・便秘などの便通異常や腹痛などを起こしてしまう状態です。身体的な検査をしても器質的な異常が認められません。下痢や便秘のみ、または下痢と便秘を繰り返す、ガス(おなら)や腹部膨満感、腹痛が過敏性腸症候群の特徴です。過敏性腸症候群の原因は不安・緊張・プレッシャーなどの精神的ストレスといわれています。誰もがストレスを抱えているものですが、過敏性腸症候群の場合は、過敏性というとおり腸が過敏になっていて少しの刺激で便秘・下痢・腹痛を起こしてしまいます。
過敏性腸症候群のメカニズムはどうなっているのでしょうか?腸管には腸管神経叢があります。脳がストレスを感じるとその刺激が腸管神経叢に伝わり、腸管の運動や知覚などが敏感に反応して下痢・便秘・腹痛などが起きます。次にそれら症状が脳に伝えられて脳にストレスを与えるという悪循環が起きている状態です。消化管の機能異常は自律神経系や脳と深い関係にあり、自律神経失調傾向の人は過敏性腸症候群にもないやすいともいえます。
内科や消化器科の検査で器質的な異常や特定の病気が認められず、過敏性腸症候群かも、と思っているならば心療内科の受診をしてはいかがでしょうか?

急性腸炎

急性腸炎は腸に炎症を起こす疾患の総称です。炎症の原因の多くが食中毒です。感染性腸炎の細菌には、病原性大腸菌(O-157など)、ブドウ球菌、サルモネラ菌、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、赤痢菌などがあります。ウィルス性腸炎には、二枚貝に蓄積されるといわれているノロウィルス、乳幼児のロタウイルス、風邪などがあります。非感染性の急性腸炎としては、食物アレルギー、暴飲暴食、抗生物質の服用、貝や茸などの毒素、腸の血流が悪くなる虚血性腸炎などがあります。

急性腸炎の症状
急性腸炎の症状は下痢・強い腹痛で発熱・吐き気・嘔吐を伴います。血便や、激しい痛みが数分毎に起きたりします。緊急の治療や入院が必要になることもあります。

急性腸炎の治療
一般的に問診・便検査・採血検査で診断されます。
○整腸剤や抗生物質を使用して安静にします。(腸炎の原因によって抗生物質が異なります。また、下痢は腸内の有害物質を排出するためですから、自己判断で薬を服用すると逆効果になることがあります。)
○激しい下痢や嘔吐の場合は脱水症状を起こしますので、十分な水分補給と適度な塩分補給が必要です。
○症状が軽くなってきたら少しづつ消化の良いものを食べます。刺激の強い食べ物〈冷い・熱い・酸味が強い・脂肪が多い食べ物、果物、コーヒー、アルコール〉は避けます。

食中毒の予防
食中毒予防は、細菌が食材・調理器具・食器に付着したり増殖するのを防ぎ、腐った食べ物や不衛生な生水などを口にしないことです。
○手を洗う
○清潔な食器や調理器具をつかう
○新鮮な食材を使う
○火を通す
○生ものに注意する
○特に、海外旅行では食べ物や飲み水に注意する

※慢性腸炎は急性腸炎と似ていますが、何らかの原因で腸粘膜の炎症が慢性化したものです。原因は不明ですが、細菌・ウイルス感染、自己免疫、ストレス、生活習慣の乱れなどが考えられています。

潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎、クローン病ともに炎症性腸疾患(IBD)で、特定疾患(難病)に指定されています。若年層に増えている潰瘍性大腸炎やクローン病の原因は、欧米的な食生活・ストレス・自己免疫異常・遺伝などに関係があると考えられていますが解明に至っていません。そのため、症状を抑える治療になります。通常は薬による治療ですが重度の場合は手術が必要になることがあります。潰瘍性大腸炎やクローン病の予防法は発症リスクを減らすことになります。生活習慣の改善、特に食生活において動物性タンパク質や脂肪の摂りすぎに注意して野菜や魚を食すること、そして、免疫機能を低下させる心身のストレスを減らす工夫をすることです。

○潰瘍性大腸炎(UC)
潰瘍性大腸炎は直腸の炎症が大腸に広がって大腸粘膜にビランや潰瘍ができます。潰瘍性大腸炎の症状は、初期において便が徐々にゆるくなるようです。そして、下痢・便に粘液や血が混ざる・痙攣性の腹痛・排便の回数が増えるなどの症状が現われます。重度になると発熱・体重減少・全身倦怠感・貧血などの全身症状が現われます。緩解(症状が出ていない状態)と再燃(炎症がある状態)を繰り返します。潰瘍性大腸炎の合併症として、皮膚や眼の異常や関節痛などがあります。潰瘍性大腸炎は欧米で多い病気でしたが日本でも急増傾向にある腸の病気です。潰瘍性大腸炎の好発年齢は20歳代(男性:20歳代前半、女性:20歳代後半)といわれていますが、より若年者や中高年者にも発症する病気です。

○クローン病(CD)
クローン病は潰瘍性大腸炎に似ていますが、潰瘍性大腸炎が大腸のみである一方、クローン病は消化管のすべてに炎症・潰瘍が起きます。炎症・潰瘍があらわれる主な部位によって症状が異なります。クローン病の症状は、腹痛・下痢・血便・発熱・体重減少・全身倦怠感・貧血などです。クローン病は、狭窄・関節炎・目の異常など腸管以外の合併症も多いため、合併症によってクローン病の症状は様々です。クローン病の好発年齢は10~20歳代(男性:20歳代前半、女性:10歳代後半)で男性の方が2対1の割合で多いといわれています。

大腸がん(大腸癌)とは

大腸がん(大腸癌)の殆どが結腸と直腸の粘膜の分泌腺組織にできる腺癌です。厚生労働省の推計による2020年のがんの種類を見ると、大腸がん(結腸がんと直腸がんを含む)が1位です。結腸がん(結腸癌)は女性に多く直腸がん(直腸癌)は男性に多いといわれています。大腸は盲腸から直腸までの部分を指しますが、直腸にできるのが直腸がん(直腸癌)で、盲腸と直腸を除いた長い部分の結腸にできるのが結腸がん(結腸癌)です。大腸がん(大腸癌)の発症は40歳代から増加傾向にあり好発年齢は60歳代です。早期の大腸がん(大腸癌)では自覚症状がないことが多く、病気の進行に伴い自覚症状が現われるようになります。症状としては腸の病変部からの出血と狭窄です。早期治療においては殆ど根治できるといわれています。早期発見・早期治療には大腸癌検診が大切になります。そして、大腸がん(大腸癌)の予防として、動物脂肪の摂り過ぎを控えて食物繊維(野菜・イモ類・穀類・茸類・海藻類)をたっぷり食するよう心がけて、規則正しい食事と排便習慣にして、適度な運動をしましょう。

大腸がん(大腸癌)の病期分類において、日本では「大腸癌取り扱い規約」という独自の分類があります。国際的な標準分類にTMN分類ががあります。また、基本的なデューク分類(Duke's system)という分類もあります。デューク分類やTNM分類がリンパ節の個数が中心であるのに対し、「大腸癌取り扱い規約」ではどれだけ遠くのリンパ節まで転移しているかが中心になっています。
治療においては内視鏡治療が進歩し、手術で腸を切除していたケースでも内視鏡切除の後に手術の必要の有無の判断材料の一つになりつつあるといわれています。

大腸がん(大腸癌)の原因
大腸がん(大腸癌)の症状
大腸がん(大腸癌)の検査・治療

大腸がん(大腸癌)の原因

大腸がん(大腸癌)の原因は詳しくは解明はされていませんが、環境的・遺伝的要因が関係し、特に欧米化した食事などの環境的な要因が大きいと考えられています。高脂肪と低食物繊維により、便が大腸の中に溜まる時間が長くなり、食物に含まれる発癌物質や代謝で発生した発癌物質が大腸粘膜に接している時間が長くなったためと考えられています。動物性脂肪を消化するときに発生する物質の中に発がん物質が含まれているといわれています。和食派でも、塩分摂取量が多く晩酌など習慣的な飲酒がある場合は欧米食派と比べても大腸がん(大腸癌)の発生率はあまりかわらないとの調査報告もあります。大腸がん(大腸癌)のおよそ半数において、疫学的に何かしら遺伝子が関係しているのではといわれています。

大腸がん(大腸癌)の危険因子はおよそ次のとおりです。該当する場合は、該当しない人よりも定期的な大腸癌検診がより大切になると考えられます。
○親族に大腸癌の人がいる。
○親族に大腸ポリープの人がいる、また本人に大腸ポリープの既往がある。
潰瘍性大腸炎・クローン病を患っている。
○治りにくい痔ろうがある。
○脂肪が多く食物繊維が不足した食生活をしている。
○発癌物質に接する環境のなかで生活をしている。

大腸がん(大腸癌)の症状

大腸がん(大腸癌)の早期では無症状ですが、大腸がん(大腸癌)が進行すると、便に血液が混じる、便が以前よりも細くなった、残便感がある、腹痛がする、下痢と便秘を繰り返す、貧血を起こす、などの自覚症状がでてきます。血便があってもいつもの痔と勘違いして治療が遅れることもありますので要注意です。痔による出血は鮮血便ですが、鮮血便だからといって安心はできません。直腸がんの可能性があります。癌の種類や癌のできた部位・範囲で症状が異なります。

大腸がん(大腸癌)の症状:病変部からの出血
健康診断で行われる便潜血反応検査も病変部からの出血を検査しています。便検査をしないとわからない出血もあります。一般的に口に近いほど赤い便(潜血便)といわれていますが、大腸の肛門より遠い部分からの出血は黒色便のこともあります。大腸の肛門に近い直腸からの出血は鮮血便です。便の状態が気になるなら病院での受診をおすすめします。健康検診などで貧血と指摘されることがありますが、大腸がん(大腸癌)の可能性もありますから、そのようなときも受診をおすすめします。
 
大腸がん(大腸癌)の症状:狭窄
大腸の大腸がん(大腸癌)の病変部で大腸が狭くなる症状です。便秘と下痢を繰り返すのが特徴です。その部分で便が通りにくくなり便秘や細い便になったり、水様便しか通らず下痢になったりします。完全に大腸が詰まると腸閉塞をおこして強い腹部膨満感や腹痛・食欲不振・嘔気・嘔吐が起きることがあります。以上のような症状のあるときには大腸検査をおすすめします。

大腸がん(大腸癌)の検査・治療

大腸がん(大腸癌)の検診・検査に、定期健康診断でも行われる便潜血反応検査があります。大腸がん(大腸癌)が疑われる場合は、注腸造影検査や大腸内視鏡検査などを行います。他の癌と同じく、大腸ガン(大腸癌)も早期発見と早期治療に尽きるため、大腸がん(大腸癌)の検診・検査が重要になります。早期に発見して治療すれば、殆どの癌は根治できるとされています。大腸がん(大腸癌)の検診を受けましょう。

大腸がん(大腸癌)の検査
○便潜血反応検査:一般の健康検診で行われる、いわゆる検便です。これによって便に血液が混じっていないかどうかも調べます。目ではわからない血液が混じっていることがあります。潜血反応がある場合は精密検査を受けることになります。
○腫瘍マーカー:血液で腫瘍マーカーを調べます。大腸がん(大腸癌)の早期発見にはあまり効果がなく、転移や再発の目安として用いられるようです。
○注腸造影検査:肛門からバリュームと空気を注入してX線写真を撮影します。
○大腸内視鏡検査:肛門からファイバースコープを挿入して大腸粘膜を観察します。ポリープを切除してその細胞を調べ、大腸ガンかどうかの診断をします。
○画像診断:CT検査・MRI検査・超音波検査などがあります。大腸ガンがどれくらい進行しているかの判断材料にします。

大腸がん(大腸癌)の治療には、内視鏡的治療、手術療法、放射線治療、化学療法(抗がん剤)があります。大腸がん(大腸癌)の病期や症状によって治療法が異なります。一般的に手術による治療ですが、早期の大腸がん(大腸癌)であれば内視鏡的治療が可能です。

大腸がん(大腸癌)の治療
○内視鏡的治療
大腸がん(大腸癌)が小さく粘膜内に局限していると予想されるポリープ病変に対して行われます。茎のあるポリープにはポリペクトミー、茎がないポリープには内視鏡的粘膜切除術とよばれる治療を行います。内視鏡的治療で切り取られたポリープは病理検査にまわされ、この結果をもって追加手術が必要かどうか判断されます。
○手術療法
内視鏡的治療で対応できない大腸がん(大腸癌)の場合に手術をおこないます。開腹下大腸切除術や腹腔鏡下大腸切除術があります。腹腔鏡下大腸切除術は従来の開腹手術に比して患者の負担が小さく術後の回復が早いことがメリットですが、高度の技術を要するため経験を積んだ医師であることが望まれます。

大腸ポリープ

大腸ポリープとは大腸の粘膜の一部が変性したもので、形状によって、茸状に根元が細く茎のある有茎性ポリープと、茎がない全体的に広がった広基性ポリープに大別されます。有茎性ポリープは基本的にがん化の可能性は低いのですが、1センチ以上になるとガン化のリスクが高まります。広基性ポリープ(特に2センチ以上)はガン化する可能性のある腺腫性の大腸ポリープといわれています。大腸ポリープは直腸に多く、次いでS状結腸に多く発生します。40歳以降に増加傾向がみられ高齢になるほど増加します。100個以上のポリープが多数発生することがあります。この状態を大腸ポリポーシス(消化管ポリポーシスまたはポリポーシス症候群ともいいます)といいます。
大腸ポリープは、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大別されます。腫瘍性ポリープは前がん病変とも呼ばれます。ポリープの殆どは良性ポリープですが、放置しておくと一部の腺腫はガン化することがあるためです。腫瘍性ポリープの原因は大腸がん(大腸癌)と同様に環境的・遺伝的要因が関係しているとされ、特に動物性脂肪の増加と食物繊維が減少した食事生活が大きく関係しているといわれています。非腫瘍性ポリープは基本的に良性です。非腫瘍性ポリープには、過誤性ポリープや炎症性ポリープがあり、若年性ポリープ(小児に多い)、過形成性ポリープ(高齢者に多い)、炎症性ポリープ(腸炎により発生)などがあります。大腸ポリープが小さいときは無症状ですが、大きくなると出血がおこります。ポリープの現われる部位で便の色が異なります。若年性ポリープは出血しやすいといわれています。

大腸ポリープの原因は解明されていませんから、定期健診をうけることが大切になります。自覚症状として血便があったり、検診などの検査で便潜血検査で陽性の場合は、大腸検査を受けてください。大腸ポリープの予防として、動物脂肪の摂り過ぎを控えて食物繊維(野菜・イモ類・穀類・茸類・海藻類)をたっぷり食するよう心がけて、規則正しい食事と排便習慣にして、適度な運動をしましょう。

大腸ポリポーシス

大腸ポリポーシスとは、ポリープが大腸全体に多発(一般的に100個以上)し、大腸だけでなく大腸以外の消化管や臓器にもポリープや病変が発生する状態です。そのために、消化管ポリポーシスとかポリポーシス症候群とも呼ばれます。消化管ポリポーシス(ポリポーシス症候群)の多くは遺伝性の病気で、高率でガン化するものもありますから早期発見・早期治療が大切です。大腸ポリポーシスは腫瘍性と非腫瘍性に大別され、腫瘍性の大腸ポリポーシスに家族性大腸線腫症やターコット症候群があり、非腫瘍性の大腸ポリポーシスに過誤腫性や炎症性のものがあります。

腫瘍性の大腸ポリポーシス
○家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)・ガードナー症候群(Gardner症候群)
家族性大腸腺腫症とガードナー症候群ともに遺伝子異常による遺伝性の病気で、大腸にポリープが通常100個以上発生し、大腸以外の胃・十二指腸・小腸などの消化管や骨・軟骨組織・目・甲状腺などの他臓器に腫瘍を合併し、高い確率で大腸ガン(大腸癌)になる消化管ポリポーシス(ポリポーシス症候群)です。20歳代中頃にポリープが多発し始めて高い確率でガン化(癌化)します。家族にこの病気の人がいる場合は定期検査で早期発見することが大切です。
家族性大腸腺腫症とガードナー症候群は別の病気とされていましたが、同じ遺伝子の異常であることから、同一の病気と考えられるようになっています。家族性大腸腺腫症は大腸のみにポリープが多発する大腸ポリポーシスで、ガードナー症候群は大腸のポリープ多発に加え他の消化管や他臓器に腫瘍を合併する別の大腸ポリポーシスとされていました。
○ターコット症候群(Turcot症候群)
大腸ポリポーシスに中枢神経の腫瘍を合併したものです。稀な病気ですが高い確率でガン化します。

非腫瘍性の大腸ポリポーシス
過誤腫性ポリープとは正常な大腸粘膜が過剰に発育した腫瘍で基本的に良性といわれていますが、僅かながらガン化の可能性があります。炎症性ポリープとは潰瘍性大腸炎など腸の炎症の後にできる腫瘍でガン化の可能性は殆どないといわれています。
○ポイツ‐イェガース症候群(Peutz-Jeghers症候群)
ポイツ‐イェガース症候群は過誤腫性ポリープで、食道以外の消化管(胃・小腸・大腸・直腸)に発生します。先天的なもので出生前または幼児期にポリープが発生します。ポイツ‐イェガース症候群によるポリープは、腸管のガン(癌)になるリスクは低いものの、膵臓癌・乳癌・肺癌・卵巣癌・子宮癌の発症リスクが高いとされています。

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