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女性の更年期事典 > 更年期に注意:乳がん(乳癌)

乳がん(乳癌)になりやすい人

乳がん(乳癌)になりやすい人がいます。次の項目をチェックしてみてください。チェックが多ければ多いほど乳がん検診が大切になります。

○年齢40歳以上
○初産年齢が30歳以上(出産経験がない人も含む)
○初潮年齢が11歳以下
○閉経年齢が55歳以上
○標準体重より+20%以上の肥満(特に閉経後の肥満)
○良性の乳腺疾患の既往がある
○乳がん(乳癌)の既往がある
○家族・親戚に乳がん(乳癌)になった人がいる
○長期間(10年以上)のホルモン補充療法(更年期障害の治療)を受けている

乳がん(乳癌)の原因

乳がん(乳癌)の原因には、女性ホルモン、肥満、ライフスタイルが関係しています。乳がん(乳癌)の治療も進歩しています。初期の乳がん(乳癌)では乳房の温存手術も可能で、治癒しやすいがん(癌)の一つともいわれています。定期検診と自分で行う「自己検診」を組合わせが、乳がん(乳癌)の早期治療を可能にします。

乳がん(乳癌)の原因:女性ホルモン(エストロゲン)
乳がん(乳癌)の発生と進行は女性ホルモン(エストロゲン)が影響していると考えられています。乳がん(乳癌)は、初潮時期が早くなり閉経の時期が遅くなることで女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなったことが影響すると考えられています。

乳がん(乳癌)の原因:肥満
乳がん(乳癌)と肥満の関係は明確にはされていませんが、脂肪組織には女性ホルモン(エストロゲン)を合成する酵素があります。肥満ということは脂肪量も多いことになり、女性ホルモンが多く作られることになります。特に閉経期以降の肥満は乳がんの促進因子になるといわれています。更年期の肥満女性は乳がん(乳癌)に気をつけなければなりません。更年期には太りやすいので、更年期の女性は適度な運動とバランスの良い食事を心がけてください。検診・検査が大切です。

乳がん(乳癌)の原因:ライフスタイル
結婚・出産の高年齢化や出産回数の減少などのライフスタイルが影響していると考えられています。また、食生活の欧米化で、コレステロールが卵胞ホルモンの過剰分泌を促すのではないかとも考えられています。

乳がん(乳癌)になりにくい体質に

乳がん検診で早期発見・治療が最善の乳がん(乳癌)対策です。乳がん(乳癌)にならない方法はありませんが、生活習慣を見直して乳がん(乳癌)になりにくい体づくりをしましょう。乳がん予防対策は、検診・禁煙・食生活などです。

乳がん(乳癌)に絶対にならない方法はありません。乳がんを早期に発見して治療することが最善の乳がん対策になります。乳がん(乳癌)になりにくい体づくりも大切です。がんを予防するために改善できる生活習慣には、まず禁煙があり、バランスのとれた食事をして、食べすぎず、適切な運動と休養をとることです。食べ物では、繊維質・緑黄色野菜や、乳がん(乳癌)を含むがん(癌)を抑える作用があるらしい大豆食品(豆腐・納豆など)を摂るようにしましょう。

※ピンクリボン(Pink-ribbon)
ピンクリボン(Pink-ribbon)は、乳がん撲滅の世界規模のキャンペーン、またはそのシンボルです。日本でもピンクリボン運動が2000年代に入ってから広まりはじめました。ピンクリボン運動参加企業も増えてきています。10月がピンクリボンのキャンペーン月間です。ピンクリボン運動ではマンモグラフィー検診を年1回受けることを推奨しています。

乳がん(乳癌)の予防対策

乳がん(乳癌)対策・予防には、運動やカロリー摂取のコントロールをして肥満を防ぎ、アルコール摂取を控えましょう。
先ずは、
○年一回の乳がんの定期検診を必ず受診!
○毎月一回は乳がんの自己検診!
そして、
○禁煙をする
たばこを吸う女性が乳がんにかかるリスクは、吸わない人に比べて1.9倍だそうです。禁煙は乳がん(乳癌)予防の一つです。
○1日3食、バランスのよい食事をする。
○緑黄食野菜を積極的に食べる。
大腸がん、胃がん、食道がん、乳がん(乳癌)などのがん(癌)で野菜と果物に予防効果があることがわかっています。また、厚生労働省研究班による1990年から10年間4県の40~49女性の追跡調査で「お味噌汁を1日3杯以上飲むと乳がんの発生率が40%下がる」との結果が2003年米国立がん研究所雑誌に発表されました。この研究班は、お味噌汁を飲みすぎると塩分摂取量が多くなるので大豆製品全般をバランスよく摂取するようにとも付け加えています。大豆が乳がん予防になるという理由はは、大豆のイソフラボンに由来しています。野菜・果物・大豆が良いということになります。
○肥満(太り過ぎ)にならないようにする。(特に閉経後)
○適度の運動をする。
○過剰なアルコール摂取をしない。(大酒をしない)
○夜更かしをしない。

乳がん(乳癌)の特徴

乳がん(乳癌)の初期は無症状ですが、乳がん(乳癌)が大きくなるにつれて自分でも分かるようになります。乳がんは比較的小さい時期から遠隔転移すると考えられています。乳がん(乳癌)は早期発見・治療に尽きるため、検診・検査が大切になります。

乳がん(乳癌)の約80%が乳管がんで、約90%が浸潤性乳がんです。がん細胞は比較的小さい時から乳腺組織からリンパや血液にのって乳腺から離れた臓器(肺、肝臓、骨など)に遠隔転移すると考えられています。転移巣が大きくなると症状が出たり、検査で検出されたりします。治療方針は腫瘍の大きさ・再発リスクの程度・年齢などにより決められるようです。
35歳を過ぎると乳がんの発生率は急に高くなるそうです。検診・検査で早期発見・早期治療が大切になります。

乳がん(乳癌)の種類

乳がん(乳癌)は、乳腺組織から発生するがん(乳がん)は乳管がんと小葉がんに大別されます。乳がんの約80%が乳管がんで、残り10%が小葉がんとごく稀にある特殊型の乳がん(乳癌)です。また、乳がん(乳癌)は浸潤性乳がんと非浸潤性乳がんに大別されます。

乳がん(乳癌)の種類:乳管がん・小葉がん
○乳管がんは、母乳を運ぶ乳管から発生する乳がん(乳癌)です。
○小葉がんは、母乳を作る腺房から発生する乳がん(乳癌)です。

乳がん(乳癌)の種類:浸潤性乳がん・非浸潤性乳がん
○乳がん(乳癌)の種類:非浸潤性乳がん
乳がんが小葉や乳管の中に限局して周囲に拡がらないのが非浸潤がんです。
非浸潤がんは乳がんの約10%で、転移がなく手術でほぼ完治するとされています。
乳管内がん、小葉がん、嚢胞内がん、ページェット病(パジェット病)があります。
○乳がん(乳癌)の種類:浸潤性乳がん
乳がんの約90%を浸潤がんが占めます。増殖したがん細胞が周りの組織を破壊して拡がっていくのが浸潤がんです。
・通常型:乳頭腺管がん、充実腺管がん、硬がん
・特殊型:粘液がん、髄様がん、浸潤性少葉がん

乳がん(乳癌)の症状

乳がん(乳癌)の症状には、乳房のしこり、皮膚のひきつれ・えくぼ・発赤、分泌物、リンパ節の腫れ、遠隔転移などがあります。

○乳がん(乳癌)の症状:乳房のしこり
乳がん(乳癌)は5mm~10mm程の大きさになると、注意深く触るとわかるしこりになります。乳房にしこりがあるからといって必ずしも乳がん(乳癌)というわけではありません。良性の腫瘍や乳腺症も考えられます。乳がんのしこりは、表面がザラザラ・ゴツゴツして硬いのが特徴です。腫瘤は硬く、境界線が比較的はっきりしていて、初期には痛みがなく、触っても動きが悪く、月経に伴う変化がないそうです。

○乳がん(乳癌)の症状:乳房皮膚の変化(えくぼ・ひきつれや発赤など)
乳がんが皮膚の近くまで達すると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤く腫れたりします。
乳房のしこりが明らかでなくて、乳房の皮膚がミカンの皮や豚皮のような皮膚で発赤があり、痛みや熱感がある乳がんは、炎症性乳がんの可能性があります。炎症性乳がんは羅患率が極めて低い乳がんですが、進行がはやく全身に転移しやすい乳がんとされています。

○乳がん(乳癌)の症状:乳房の分泌液
血液が混じった分泌液がみられることがあります。

○乳がん(乳癌)の症状:乳房の近くの領域リンパ節の腫れ
乳がんは乳房の近くにある領域リンパ節に転移しやすいく、領域リンパ節が大きくなるとリンパ液の流れが制限されて腕がむくんだり、神経が圧迫されて腕がしびれたりすることがあります。
※領域リンパ節:乳がんの領域リンパ節は、腋窩リンパ節(脇の下のリンパ節)、内胸リンパ節(胸骨の傍のリンパ節)、鎖骨上リンパ節・鎖骨下リンパ節(鎖骨の上下のリンパ節)など乳房の近くにあるリンパ節をさします。

○乳がん(乳癌)の症状:遠隔転移
遠隔転移の症状は、乳がんが転移する臓器によって異なります。骨への転移では腰・背中・肩の痛みが続くなどの症状があったりします。

乳がん(乳癌)と間違えやすい病気

乳房には乳がん(乳癌)以外の病気があります。乳がん(乳癌)と同じような症状が多いため、乳がん(乳癌)との鑑別が大切になります。おかしいな、と思ったら自己診断せずに乳腺専門医がいる乳腺外科・乳腺科・一般外科の乳腺専門外来を受診してください。

乳がん(乳癌)と間違えやすい病気
○乳腺症
年齢30歳代~40歳代に多く、乳腺の良性の異常で最も多い症状です。腫瘤は弾力があり境界線がはっきりせず圧痛があることもあり、指で触るとよく動き、月経前に腫脹します。また乳頭部に乳汁のような分泌物がある場合があります。
○乳腺炎
授乳期によくみられ、母乳の溜まりすぎで起きます。乳房の痛みや発赤、熱感などの症状があります。
○乳腺線維腺腫
年齢10代後半~30歳代に多く、硬くコリコリとしたしこりができます。

乳がん(乳癌)の検診・検査

乳がん(乳癌)の早期発見には、定期検診と自己検診です。乳がん(乳癌)は早期治療が大切です。乳がんの好発年齢は40歳代~50歳代ですが、年齢30歳を過ぎたら積極的に検診・検査を受けましょう。乳がんの早期発見には年1回の定期検診は大切です。自己検診で見つけられない小さなしこりが見つかることがあります。乳がん検診には、自治体検診、職場検診、個別検診があります。自治体検診は自治体によって検診内容や自己負担額が異なります。自分で検査機関を選んで受ける個別検診は全額自己負担で健康保険の適用外になります。

定期検診または検査の種類
○視触診
乳がんやリンパ節を見たり触ったりして「しこり」を見つける方法です。専門医による触診と自己検診が早期発見に繋がります。
○画像診断
視触診で発見しにくい小さな腫瘍やがん細胞を発見するのに有効な検査方法です。マンモグラフィー検査超音波検査(エコー検査)、MRI検査、CT検査などがあります。
○腫瘍マーカー検査
乳頭の分泌物中の腫瘍から作られる特有物質CEAの値を調べます。また、血液中の乳がんから分泌される特異物質である腫瘍マーカーを検査します。
○細胞診・組織診
しこりに注射針を刺して細胞を吸い取り調べる穿刺吸引細胞診や、しこりの一部または全部をメスで切除して行う組織診があります。
○遠隔転移の検査
遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨シンチ(アイソトープ検査)などがあります。

乳がん(乳癌)のマンモグラフィー検査

乳がん(乳癌)のマンモグラフィー検査とは、乳房を装置に挟んで圧迫してエックス線撮影する検査です。上下左右4枚撮影します。
マンモグラフィー検査の乳がん発見率は超音波検査と比して2~3倍と有効な検査方法とされています。マンモグラフィー検査は触診ではわからない小さな乳がんの発見に加えて、しこりを作らない乳がんや石灰化を見つけることができます。がん定期検診として年1回のマンモグラフィー検査を実施している自治体もあります。

乳がん(乳癌)の超音波検査(エコー検査)

乳がん(乳癌)の超音波検査(エコー検査)とは、乳房の皮膚の上から周波数の高い超音波を当て乳房内部から返ってくる音波変化を画像変換したもので診断します。
超音波検査(エコー検査)は、触診ではわからない小さな乳がんを発見します。乳腺組織が発達している場合はマンモグラフィー検査よりも超音波検査の方がしこりを発見しやすいようです。簡単で痛みもなく検査費用も比較的安価ですが、検査結果にバラツキがあるようです。

乳がん(乳癌)の細胞診・組織診

乳がん(乳癌)の穿刺吸引細胞診は、しこりが見つかった場合に、しこりに細い注射針を刺して細胞を吸い取り、ガンかどうか調べる検査です。80~90%の割合で鑑別できるようです。乳頭からの分泌物細胞診もあります。
細胞診で鑑別できない場合に、しこりの一部または全部をメスで切除して組織診をします。近年では、太い針を刺してしこりの一部の組織を採取する針生検(針組織診)もあり、メスでの切除に比して安全で、傷も殆ど残らず短時間で検査ができる検査方法とされています。

乳がん(乳癌)の自己検診が大切

乳がんの定期検診と平行して月1回の自己検診を行ってください。定期検診と自己検診(セルフチェック)を組合わせるのが乳がん(乳癌)の早期発見・治療になります。自己検診(セルフチェック)でしこりや異常を見つけたら、迷わず乳がん専門医のいる病院の受診をして下さい。

自己検診は自分で行う視触診の乳がん検査(セルフチェック)です。年齢20歳代でも乳がんは発病します。20歳を過ぎたら、毎月、生理が終わって4~5日前後の乳房にはりや痛みがなく柔らかい時に自分で検査(セルフチェック)をします。閉経後や生理のない女性は毎月決まった日(例えば毎月1日とか、誕生日の日など)に自分で検査(セルフチェック)をします。

乳がんの自己検診の検査は、しこりがあるかどうかを自分で検査(セルフチェック)する方法です。大きな鏡で見ながら乳房の形の変化や、くぼみやひきつりの有無や皮膚の色の変化をチェックしたり、自分で触ってしこりを探します。分泌物もチェックします。

乳がん(乳癌)の自己検診方法

乳がん(乳癌)の自己検診方法

乳がん(乳癌)の自己検診方法のご紹介です。

乳がん自己検診の検査方法:目で見るセルフチェック(視診)

鏡の前で行う乳がんの自己検診です。入浴前が便利です。

(1)鏡の前に正面を向いて立ち、両手を下ろした状態でチェックします。
・左右の乳房の形・大きさに変化はありませんか?
・皮膚に出っ張り・へこみ・ひきつれがありませんか?
(2)両手を腰に当てる、両手を上げて手を頭の後ろで組む、前屈みになって乳房をたらすポーズで、(1)と同じようにチェックします。しこりがある部分にへこみや引きつれができたりすることがあります。
(3)横向きになって、(1)(2)と同じようにチェックします。

自己検診の検査方法:触れてみるセルフチェック(触診)

触るときはつままないで押さえるようにして、以前に触ったときの乳房を思い出しながら、何か変化がないか気をつけて触ります。乳房の中に何かないか?といった感覚でチェックします。

○乳がんの自己検診の検査方法:入浴時にチェック
乳房に石けんをつけてすべりをよくし、4本の指の腹を乳房にあてて、しこりがないかをチェックします。両方のわきの下(リンパ節)もチェックします。
(1)調べる側の手を下ろしたまま、反対側の手で、乳房全体を「の」の字を書きながら、内から外へ円を描くようにして、しこりの有無をチェックします。脇の下のリンパ節もチェックします。反対側も同じくチェックします。
(2)調べる側の手を上げて(1)と同じようにチェックしましす。

○乳がんの自己検診の検査方法:仰向けに寝てセルフチェック
仰向けで行う乳がんの自己検診は、就寝前が便利です。助骨の沿って触ると分かりやすいです。
(1)仰向けに寝て、調べる側の肩の下に低めの枕か折ったタオルを入れて乳房が脇側に垂れないように安定させます。調べる側の腕をあげて頭の下に入れるようにします。⇒反対側の手の指を揃えてのばし、指の腹で乳房の内側をチェックします。胸中央に向かって、柔らかくすべらして、まんべんなくしこりの有無をチェックします。
(2)(1)の姿勢で上げていた腕を体の側面の自然な場所に下ろします。⇒乳房の外側の部分をチェックします。脇側から内側に向かって、柔らかくしっかりと指をすべらして、まんべんなくしこりの有無をチェックします。
(3)反対側の乳房も(1)(2)の同じようにチェックします。

○乳がんの自己検診の検査方法:両脇のリンパ節と分泌物のチェック
(4)起きた姿勢で、両脇の下のリンパ節にしこりがないかチェックします。
(5)分泌物に血が混じっていないかなど異常な分泌物の有無をチェックします。

乳がん(乳癌)の治療

乳がん(乳癌)の治療は、腫瘍の大きさ・位置・性質、年齢・健康状態などで異なります。発見が早期であるほど治療や手術は軽く済みます。治療方法の選択肢も増え、治癒しやすいガンの一つと考えられています。
乳がん(乳癌)の治療法には、手術放射線治療化学療法(抗がん剤治療)抗ホルモン剤治療などがあります。また、手術の後に形成手術で乳房を作る乳房再建術も進歩してきました。医師の経験・技術・考え方によって治療方針に違いがあります。治療方法に関しては主治医と十分話し合って、納得した上で治療法を選択することが大切です。

※がん特約付きの生命保険で非浸潤性乳がんには保険給付がされないものがあります。浸潤性乳がんと同様の治療でも、上皮内新生物(上皮ガン)として保険給付対象外と判断されることがあります。契約時に確認をしてください。約款をよく読んでください。「上皮内新生物を除く」と記載があるものは要注意です。

乳がん(乳癌)の手術の傾向

乳がん(乳癌)の治療は病巣切除が基本です。以前はハルステッド法という大きく乳房を切除する手術方法が中心でしたが、現在では、治療方法の選択肢が増えたこともあり、乳房を切除しますが切除する範囲は小さくなってきています。手術後はリハビリが行われ、手術で摘出された組織の病理検査の結果をもって手術後の治療方針が決められます。

乳がん(乳癌)の全摘手術と乳房温存手術
乳がん(乳癌)の手術には、乳房切除術(全摘手術)と乳房温存手術(部分切除術)があり、それぞれ長所・欠点があります。
乳房温存手術は手術後に放射線治療・抗がん剤治療などを行う治療方法になります。乳房切除術でも乳房温存手術でも、基本的に腋窩リンパ節郭清が行われます。この腋窩リンパ節郭清で腕内側のピリピリ感や無感覚、肩の可動範囲の制限、リンパ浮腫などの障害が起こることがあります。
腋窩リンパ節郭清の省略が可能かどうかの確認方法としてセンチネルリンパ節生検があります。乳がんの病巣から最初にセンチネルリンパ節に流れるとされ、センチネルリンパ節に転移がなければその先の腋窩リンパ節を切除する必要はないとザンクトガレン乳がん国際会議で正式に認められました。ですが、他転移の可能性があるとの意見もあり、センチネルリンパ節生検を実施できる施設も限られています。

乳がん(乳癌)の乳房再建術
乳がん(乳癌)の乳房再建術の手術は、乳がんの手術中に行う再建術と、乳がんの手術後に一定の期間を置いてから再発・転移がないことを確認してから行う再建術があります。再建手術には、自分の組織や人口素材を用います。

乳がん(乳癌)の放射線治療

乳がん(乳癌)の放射線治療は、がん細胞に高エネルギーX線を照射して、がん細胞の増殖の抑制・死滅を目的とした局所治療です。がんの種類にもよりますが、放射線治療は比較的効果が現れやすいとされています。体の外から放射線を病巣に照射する外部照射法と、病巣に直接放射線を発生する物質を差し込んで治療する密封少線源治療があります。
一定量照射がされてしまった部位や妊娠中・膠原病の人には放射線照射はできません。

乳がん(乳癌)の化学療法(抗がん剤治療)

乳がん(乳癌)の化学療法(抗がん剤治療)は、手術後の再発予防に副作用の比較的軽い薬剤を内服(通常は2年程)する抗がん剤治療が一般的です。手術後の病理結果でホルモンレセプターが陰性(-)の場合は、化学療法の治療を受けるのが標準とされています。
2005年ザンクトガレン乳がん国際会議では、術前化学療法が注目されプライマリー化学療法(一次化学療法)と改名されました。世界的には術前化学療法が乳がん標準治療と位置づけられています。
抗がん剤治療は、白血球減少・脱毛・吐き気・倦怠感などの副作用がありますが、乳がんには比較的抗がん剤が効きやすいとされています。

乳がん(乳癌)の抗ホルモン剤治療

乳がん(乳癌)の中には、女性ホルモンの影響で分裂増殖が促進される乳がんがあります。ホルモン療法は、初期治療・再発転移治療として行われます。手術後の病理結果でホルモンレセプターが陽性(+)の場合にホルモン療法、もしくはホルモン療法と化学療法の両方の治療になります。
初期治療におけるホルモン剤治療には、エストロゲン産生を抑制する方法とホルモンレセプターにエストロゲンが結合するのを阻止する方法の2つがあります。エストロゲン産生を抑制する抗エストロゲン剤は閉経前と閉経後では薬剤が異なります。エストロゲンの結合を阻止する抗エストロゲン剤は閉経に関係ありません。抗エストロゲン剤は更年期障害様の副作用がありますが、エストロゲンと似た作用があることから、コレステロール値を下げたり、骨粗鬆症の予防効果があるとされていいます。

乳がん(乳癌)の再発

胃がんや大腸がんなどは3年生存率で見ますが、乳がん(乳癌)は10年で見るのが一般的といわれています。再発の約70~80%が手術後2~3年、再発の約20~30%が手術後5年目以降、手術後10年経てからの再発も5~10%位あるそうです。このことからも、乳がんが治ったかどうかの判断は10年以上の長いスパンで見る必要があります。
乳がんは再発すると完治が難しいため、乳房温存療法・胸筋温存乳房切除術のどちらでも、手術後の再発の危険が高い人には、術後補助療法が行われるようです。

乳がん(乳癌)の病院選び

乳がん(乳癌)は遠隔転移しやすく、5年・10年後に再発することがあるため、手術後の経過観察が重要になります。また、再発予防に、担当医と相談しながら根気よく乳がん(乳癌)の治療を続けることになります。ですから、乳がん(乳癌)の治療・手術には情報を集め、病院選びは慎重に行いましょう。

乳がん(乳癌)の症状かも、と思ったときは専門医のいる乳腺外科、乳腺科、乳腺専門外来のある病院を受診します。乳がん(乳癌)の検査・治療・手術には、がん専門病院・大学病院・総合病院などがあります。それぞれの医療機関で特徴があり、例えば、大学病院やがん専門病院は、診療の他に教育・研究の役割があります。自分にとってよい病院と主治医を見つけるには、病院の特徴を知っておくことも必要です。

日本では、地域や病院によって乳がん(乳癌)の診療内容にバラツキがあり、どこでも同じ検査・治療・手術を受けられるという状況にありません。これを受けて、日本乳癌学会は、1998年から乳がんの認定医・専門医制度をスタートしました。

乳がん(乳癌)の病院選びのポイント

乳がん(乳癌)の病院選びのポイントは、
○乳腺外科・乳腺外来がある病院か
○乳腺専門医がいる病院か
○標準治療が行われている病院か
○通院が無理なくできる病院か
○病院の評判はどうか
○治療の実績はどうか
などです。

乳がん(乳癌)は、手術だけでなく手術後の長い期間に経過観察をし治療する病気ですから、主治医との信頼関係を築けるかが非常に大切になります。
○乳腺の専門医か
○納得できる分かりやすい言葉で説明してくれるか
○どんな質問にも嫌がらずに答えてくれるか
○誠実な態度で応じてくれるか
○自分との相性はよいか

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